Epic Gamesの独占販売はうざい?嫌い? 不買運動って? PCゲームストア解説

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突然ですが、皆さんは普段PCゲームをどこで購入していますか?ほとんどの方はSteamとお答えになるのではないかと思います。事実、Steamは圧倒的な知名度とシェアを誇っており、PCゲーマー達にとっては実家のような存在です。

そんな中、ここ数年でメキメキと存在感を表しているのが、Epic Games Store。Steamと同じくPCゲームストアとして多種多様なタイトルを販売しており、クライアントソフトによるゲームの一括管理にも対応しています。

そんなEpic Games Storeですが、実は一部界隈から猛烈に嫌われているストアであるということをご存じでしょうか。Googleで「Epic」と入力すると、サジェストに「うざい」と表示される始末。一時期海外ではSteamユーザーとの対立もあったようで、「不買運動」があったという噂を耳にした事がある方もいるのでは。

そこで本記事では

  • Epic Games Storeってどんなストア?
  • Epic Gamesがうざがられる理由
  • 不買運動って本当にあったの?

の3点について深掘りしていきたいと思います。

Epicってなんかかわいそうだね

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Epic Games Storeってどんなストア?

Epic Gamesとは、1991年に設立されたアメリカの企業です。そんなEpic Gamesが運営するPCゲームストアがEpic Games Storeです。

Epicってなにで有名な企業なの?と聞かれたら、多くの人が

「フォートナイトを作った所だよ」

と答えるでしょう。あの有名なバトロワゲーム、Fortniteの運営、開発元が何を隠そうEpic Games。無料で遊べる大人気タイトルで、特に10~20代の若者から人気を博すモンスタータイトルです。

他にも、ゲームエンジンとして圧倒的なシェアを誇る「Unreal Engine」の開発元としても有名です。

ゲームエンジンとは、ゲームを作る際の基幹システムみたいなもので、効率的にゲームを開発するためには、現代においてほとんど必須とも言える程重要なソフトウェアです。世界中のゲーム会社が、自社ゲームを制作する際にこのUnreal Engineを使用します。

ここまでの話をまとめると、Epic Gamesは

  • 自社製品が大人気でお金持ち
  • 世界中のゲーム会社に対してコネや交渉材料を持っている

という特徴がある事が分かります。

Fortniteの運営やUnreal Engineのライセンス契約など、グローバルなビジネスを展開しており、事実Epic Gamesの時価総額は数兆円にも及びます。

また、様々なゲーム会社がUnreal Engineを開発に採用しているという事は、あらゆるゲーム会社と繋がりを持っているという事になります。

乱暴な言い方をすれば、Unreal Engineを人質にすれば、各ゲームの開発会社や販売会社と交渉を有利に進めることも出来るのでは、などと勘繰ってしまいます。

Epic Gamesがうざがられる理由

先程も申し上げた通り、Epic Gamesは一部界隈から嫌われ、そしてウザがられて来た歴史があります。その一番の要因として考えられるのが「独占販売」です。

冒頭で申し上げた通り、PCゲームストアとして一番メジャーなサービスは?と聞かれたら、多くの方がSteamと答えるのではないかと思います。SteamはPCゲームストアとしての歴史も古く、数多くのユーザーを抱えている業界No.1サービスです。

そんなSteamに対抗すべく、PCゲームストア事業に新規参入したEpic Gamesは、2つの施策によってSteamからシェアを獲得しようと考えました。それは「ストア手数料の低率化」「独占販売」です。

まず前提として、Steamではゲームがユーザーから購入された際、利益のうち30%を手数料として販売者から徴収します。この手数料は、時折ストア税などと呼ばれる事もある様です。販売(開発)元のゲーム会社に支払われる利益は、ストア税30%を引いた残りの70%という事になります。

※総売上高に応じて最大20%まで下がるそうですが、その恩恵を受けるためには5000万ドルの売上が必要との事…!

この「30%」という数字が適正なのかは正直分かりません。実際、とあるアメリカの開発会社がSteam(の運営会社であるValve)を相手取って、「不正に手数料を吊り上げて自由競争を阻害しているいる!」みたいな裁判を起こしたケースもあったそうですから、高すぎると感じている企業がいる事は間違いないですね。

それに対抗してEpic Games Storeでは、ストア手数料を12%と低めに設定しています。Steamと比べると実に18%もの差があります。販売規模の大きなメーカーほど、この差は大きくのしかかってきますよね。このようにストア税を低率に設定する事で、ゲーム会社をSteamからEpicに誘導しようと考えた訳です。

そしてもう1つの施策が「独占販売」です。平たく言うと、ゲーム会社に発売後一定の期間、Epic Games Store以外での販売を禁止してもらう代わりに、その期間中ストア税をおまけするなど各種メリットを提供しますよ、という様な交渉を持ちかける訳ですね。

ちなみに、2023年10月からは「EPICファーストラン」という販売者向けの制度がスタートし、「EPIC独占販売とそれに伴うメリットの提供」が包括的な仕組みとして明文化されました。

一方で「EPICファーストラン」が始まるまでは、独占販売のルールはもっと曖昧でした。実情としては、各ゲームタイトル毎にEpicと開発・販売会社が個別に独占販売の交渉をしていたようです。そのため、独占販売の期間や、独占販売が発表されるタイミングもゲームタイトルによって結構バラバラでした。

この何とも言えないフワッとした独占販売が、ユーザーからうざがられる大きな要因だと思います。PCゲームは、基本的に購入したストアのクライアントソフトで管理します。Steamで買ったゲームはSteamのソフトで、Epicで買ったゲームはEpicのソフトで管理するという感じ。

そのため、購入したゲームがあっちこっちに散らからないように、「なるべくひとつのストアでゲームを買いたい!」と思っているユーザーはそれなりに居ると思います。個人的にもその気持ちはすごくよく分かります。例えば筆者の場合は

なるべくSteamで買いたい!

になる訳です。

しかしEpic Gamesの独占販売は、そんなユーザー心理を丸っきり無視した物と言えます。ゲームのリリース情報を見て、「お!これはSteamで買おう!」と楽しみにしていたのに、発売前になって「一年間はEpic独占販売です」って言われると萎えますよね。そして「Epicうざいな」ってなる訳です。実際は独占契約に合意した販売元も同罪なんですけど、やっぱりEpic Gamesにヘイトが向きがちです。矢面に立つって辛いですね。

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不買運動って本当にあったの?

時折耳にする、Epic Games不買運動ですが、これって実際に行われた運動なのでしょうか。

結論から申し上げますと、実際に不買運動が行われた事実は一応あるようです。しかし、運動の規模や実態は不明で、恐らくごく小規模で限定的な運動だったと思われます。そのため、私達エンドユーザーがこれからPCゲームを購入する際、

「Epic Games Storeは不安だしやめとこ…」

ってなる程の事では決してないと思いますので、その点はぜひご安心ください。そうは言っても、なぜそこまで一部界隈から猛烈に嫌われてしまうのかは気になりますよね。

Steamを徹底的にライバル視して、多少強引とも取れる施策によってシェアを獲得して来たEpic。対立構造の中でしのぎを削ってきた両者ですが、一方で自由市場におけるライバル企業同士な訳ですから、Epic側にもこれ位の事をやる権利はあるように思えます。別に法律に違反しているでもないようですし。

不買運動なんてワードが出てくるほど嫌われてしまった理由。その秘密を紐解く鍵が、俗に言う「Metro Exodus事件」に隠されているのです…!

何故Steamユーザーから「うざい」と言われる程に嫌われてしまったのでしょうか。その秘密を紐解く鍵が、俗に言う「Metro Exodus事件」に隠されているのです…!

Metro Exodus事件とは

Metro Exodusとは2019年2月15日に発売されたシングルプレイのFPSゲームです。ドミトリー・グルホフスキー氏の小説を原作としたゲームで、核戦争が勃発した近未来のモスクワが舞台となっています。

本作はMetroシリーズの3作品目で、シリーズ物の続編という事もあり、ファンの間では発売前から注目されていた作品でした。日本国内ではスパイク・チュンソフトが販売・日本語ローカライズを担当してくれているため、日本ゲーマーの間でも一定程度話題になっていた記憶があります。

そんなMetro Exdusですが、発売日まで3週間を切った2019年1月に、販売元のDeep Silverが突如

「PC版Metro Exodusは1年間Epic Store限定で販売します!」

という内容の声明を発表しました。Steam上では2018年8月からストアページが公開されており、既に予約販売も開始していました。当然世界中のシリーズファンが、Epic独占販売が発表される前からSteam上で予約購入していたはずです。そうした中での発表だったため、ユーザーに大きな混乱を招いた事は想像に難くありません。

結果的に、独占販売の発表後にSteamのストアページは削除され、既に予約購入をしていたSteamユーザーには返金処置が施されました。返金を受けたユーザー達の多くは、金銭的な被害こそ無かったものの、怒りの矛先を求めて悶々としていたようです。

その証拠に、Steam上のMetroシリーズ過去作品のストアページには、Exodusを買えなかったSteamユーザーからの低評価レビュー爆撃があふれています。(2019年頃のレビューに絞ってチェックすると分かりやすいです。)

確かにここまで来ると、購入者達が怒る理由も分かる気がします。手数料だの業界シェアだのと、ユーザーとは直接関係がない部分で揉めた結果、その皺寄せがエンドユーザーに向かってしまうのはちょっと違うんじゃ…?と思います。

この「Metro Exdus事件」が引き金になって、Steamユーザー(特にMetroシリーズファン)からEpic Gamesは猛烈に嫌われてしまったという訳です。結果的に、本当にごく一部の過激なユーザーの間に限った話ではありますが、「Epic Games不買運動」なる署名活動が行われたほどです。

Metro Exodusの販売元「DeepSilver」のCEO(当時)が

独占販売に反発するユーザーに対しSNSで逆切れしたのも火に油だったのかも。

先述の通り、どのくらい賛同者が集まったのか、運動の実態がどのようなものだったのか、という部分に関してはソースが無いので何とも言えませんが、多分大したことは無かったのだと思います。その証拠に、今でもEpic Games Storeは元気に運営しています。一方で、そういったアクションを起こす人も発生してしまうくらい、ユーザーを怒らせてしまったんだという事実には変わりが無い訳ですね。

不買運動や署名活動を起こすほどじゃないけど、内心「Epicふざけんな!」

って思ったユーザーは当時それなりに居たはず。

Epic Gamesが一部界隈から猛烈に嫌われるキッカケを作り、そしてEpic Gamesの企業イメージにぼんやりと影を落としてしまった事件、それが「Metro Exodus事件」なのです…!

今回のまとめ

ここまでの話をまとめると、Epic Gamesが嫌われてしまった主な原因は

ユーザー利益よりも企業間利益を優先してしまったから

という事になるのではないかと思います。ここでご注意いただきたいのが、今でもEpic Gamesをうざいと思っているユーザーは、あくまでごく一部の過激派に留まるという事です。(そして日本には多分ほとんど居ないです。)

「こっちのゲームはSteam、こっちのゲームはEpic Games Store」というように、買ったゲームがあっちこっちに散らかるのがうざい!という理由でSteamをファーストチョイスに据えるユーザーはそれなりに居ると思います。が、それはEpic Gameの事が嫌いという話とはまた別です。

個人的にはEpic Games Storeは結構好きです。シーズンイベント時には割引クーポンを発行してくれますし、セール価格×クーポン割引で人気タイトルがかなり安く買える事もあります。また、最近は緩和傾向にあるようですが、元々はゲームの出品審査が厳しかったらしく、アダルトゲームや量産型インディーゲームがほとんど存在しません。そのため、セール商品一覧やランキングページがSteamより見やすいというメリットもあります。

さて、好き勝手に色々書いてきましたが、結局どのストアを選ぶかは個人の自由です。理念や経営方針に少々不満があっても、安く買えるなら気にしないという方もいるでしょう。本記事でご説明した内容は、「昔こんな事があったんだね~」という程度に理解していただけると幸いです。

という訳で、Googleのサジェストワードに左右されず、好きなストアで好きなゲームを買いましょう!そしてPCゲームライフを満喫しましょう!

※どのストアを選べばいいのか迷ってしまう方にはこちらの記事がおすすめです!

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